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2008.10.17 写真の力 2
秋晴れの過日、大隅のとあるグループホームへの訪問診療に伺った。
ここのご入居者のひとりであるAさん。今日はリビングの机の上で、一心不乱に
なにかノートに書いている。見るとそれは般若心経の写経だった。「私はこれを
書いていると、心が落ち着くの。」と言いながら、毎朝の日課になっているそう
である。

写経のノートの向こうには、A4サイズの大きめの額が置かれてあり、そこに在
りし日のご主人とのお写真が飾られていた。Aさんは90歳近いので、おそらく
10年以上前のものだろうか。ご主人は背広とネクタイ、Aさんもお着物で正装
され、お二人並んで庭先で撮影されたのだろう。自然な光でお二人とも顔色が良
く、照れくさそうに微笑んだ姿からきっと長年の仲良し夫婦というのが見て取れ
る素敵な写真だった。

「ほら、この写真のお父さん、とっても優しい顔でしょ。」とAさん。
お二人とも、とっても仲良しなんですね、というと、

「そうなの。だから私はお父さんが待っているお家に早く帰りたいの。」

cosmos


すでにご主人は数年前に他界され、認知症のため独居が難しくなったため、
このグループホームに転居されたAさんだが、入居後よりずっとこの「家で
お父さんが待っている」という話をされるそうな。長年住み慣れた自宅を
離れ、様々な思いや受け入れがたい現状などから来る混乱が、その言葉に
結実しているのだろう。

そんなAさんを気持ちを落ち着かせてくれるのが、このご主人との写真だそうだ。
「お父さんはとっても優しいの。ほら、この写真のお父さんと私、いい顔をして
いるでしょう。」そういってニコニコしながら写真のお父さんを撫でているAさ
ん。写真の中のお父さんは、いまでも変わらぬ優しさでAさんを見守ってくださっ
ているのだ。改めて写真の力に感謝。
(と)
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